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ナイスミドルになりたい

松本孝行が思っていること、考えたことなどを書きます。アゴラや自社サイトにかけないだろうなーっていう話題がメインです。

なぜ通勤手当を無くしたら働きやすくなるのか

アゴラに書いたら久しぶりにスマートニュースやヤフーニュースへ転載された。しかしまぁ「損金不算入」にするとか、テレワークがなぜ増えるのかなどがわからないという人の方が多いみたいね。個人事業とか会社経営やってれば別だけど、労働者だとわかりにくいのは当然か。

zasshi.news.yahoo.co.jp

agora-web.jp

ってわけで少し補足説明をしたいと思う。

大前提は「通勤ラッシュの緩和」が目的

まず大前提として押さえておきたいのだけれども、この通勤手当うんぬんという話が出てきた理由は通勤ラッシュが異常である、ということから始まっている。つまりこの異常な通勤ラッシュを緩和させるための方法として、通勤手当を廃止するとか損金不算入・課税対象にするとか言う話になっている。

単純に企業が金払いたくないから通勤手当払わない、とかそういうのじゃないので。

で、なぜ通勤手当を廃止すると通勤ラッシュが緩和するのか?というロジックがわからない人も多いかも知れない。というか今通勤手当もらってて、それで得していて廃止されるなんていう変化を受け入れられないのかもしれないが。

例えばだけれども、あなたは埼玉の川越に住んでいて、新宿の会社で働いているとしよう。その時に川越から新宿まで仕事に通うとなると、片道550円かかるようだ。往復で1100円、20日通うと22000円だ。定期でも20000円以上かかる。

もし通勤手当がなかったら、あなたは埼玉の川越から新宿まで月額20000円かけて通うと思うだろうか?通うという人もいるだろうが、新宿と同じ条件の仕事があればどうだろう?他にも新宿まで行かなくても一駅・二駅のところに良い仕事があれば、そちらに行くという人も多いだろう。

しかし通勤手当があれば話は変わってくる。通勤手当が出る新宿の会社で月給240000円会社と川越周辺にある月給230000円の会社があるとしよう。通勤手当を上乗せるすると新宿の会社は260000円、川越の会社は通勤費用がないので230000円だ。どちらが得だろうか?30000円は大きいだろう。

というわけで、結果的に通勤手当があることで遠くまで行った方が得、という考えが生まれるわけだ。結果的に遠くのところに通ったほうがよいと考える人が多くなる。

特に都心部は東京・大阪共に給料が高い+通勤手当が出るのだから、地方の会社とは30000円以上、月給が変わってくる。そうなればみんな無理してでも、通勤ラッシュがイヤでも都心部に行くと考えるのは自然だろう。

損金不算入・課税対象でどのくらいの負担になる?

まずわかりにくいところが損金不算入・課税対象というところだろう。この部分で企業としては非常に損をすることになってしまう。しかも大企業ほど損をしてしまう。

損金と言うのは税金計算の際に費用として認められるものだ。例えば10000円の売上のある会社が8000円の給与を支払っていれば2000円の利益が出て、この2000円に税金がかかる。10000円の売上のある会社で8000円の支払いをしても、それが損金として認められなければ、10000円の利益とされてしまうわけだ。

ここでは従業員100人の会社で考えてみよう。川越やその他から来ている従業員が100人いて、現在は交通費で一人平均20000円支払っている。なので、毎月2000000円支払っているわけだ。年間で24000000円の通勤手当だが、全て損金となっている。損金、つまりこの支払によって税金が抑えられるわけだ。

100人でコレだけの金額になるわけで、10000人とか100000人という従業員を採用している企業にとっては、凄まじい金額が支払われている事がわかるだろう。これがもし損金扱いされなければ利益として計上され、一気に法人税が上がってしまう。

だからこそもし通勤手当をなくすとなれば、損金不算入が有効というわけだ。

通勤手当がなくなればなぜ働き方が多様になる?

ではなぜ通勤手当をなくすとテレワーク・モバイルワークという働き方が増えると予測しているの?ということだが、ここが理解しにくいかも知れない。しかし下記のように考えれば理解しやすいのではなかろうか。

通勤手当がなくなり会社に社員が来なくなってしまう
⇒企業存続の危機なのでなんとか社員を確保したい
⇒あらゆる手段で社員を確保する(ただし、損しないような方法で)

という理論だ。企業は事業の規模が大きくなればなるほど、様々な人が関わっている。そして人が減ってしまうと企業も事業を縮小しなければならなくなる。なのでなんとかして人を確保しなければならない。

であれば、企業の論理としてなんとかして損しない形で仕事をしてくれる人を確保しないといけないわけだ。テレワークかもしれないし、営業所を川越に作ることかもしれないし、住宅手当を代わりに出すということかもしれない。あらゆる方法で人を確保しようとするのが企業なのだ。

どういうふうに人を確保するようになるか

企業側の論理として考えれば幾つかの方法で人を確保するようになるだろう。

例えばテレワーク、事務系の人なんかはテレワークに代わってもいいだろう。その分企業は通勤手当を出さなくていいし、労働者としても移動しなくていいから楽だ。電話やチャット、メールで十分こなせる仕事の場合は考えられる。

もう一つが職住近接だ。これは二つの方法がある。一つが事業所を移すことだ。川越や埼玉方面から来ている人が多いのであれば、埼玉方面に事業所そのものを動かしてしまう可能性がある。家賃も安いし、都心にも行けるし交通手当を払わなくていいということで、企業としてもメリットは大きい。

二つ目の方法が労働者の方を企業の近くに住まわせるという方法だ。交通手当は損金で労働者にとっても課税対象となるが、住宅手当なら損金扱いで非課税となればどうだろうか?20000円の住宅手当を払って、近くに住んでもらおうと考える企業も増えるだろう。これは若い労働者を雇っている企業ほど、取りうる可能性がある。

三つ目が企業による給与アップだ。最初に書いたとおり、企業はなんとか人を確保しなければ事業が立ち行かなくなってしまう。なのでなんとか確保しなければならないので、給与を上げてでも人材を確保しに行くだろう。特に都心部はさらに人手不足になる可能性があるので、さらに給与を上げるのではないか?と予想される。

通勤ラッシュ緩和したいですか?したくないですか?

最終的に私が予想されているような動きをみんながするわけではない。川越で働く人もいれば、川越から通う人もいるだろうし、新宿に住む場所を移動する人もいるだろう。様々な人が出て来るのは当たり前だが、少なくとも今のように郊外⇒都心部という動きを抑制できるのではないだろうか。

最初に戻るがこの通勤手当を廃止するとか損金不算入・課税対象にするという話は「通勤ラッシュをなくす」という命題から始まっている。通勤ラッシュを無くしたいと思わないのであれば、別に今のままでいいだろう。通勤手当もそのままだ。

この問題は通勤手当よりも通勤ラッシュをどう思うか?無くしたいのか存続したいのか、という話なのだ。あなたはどう思う?