ナイスミドルになりたい

松本孝行が思っていること、考えたことなどを書きます。アゴラや自社サイトにかけないだろうなーっていう話題がメインです。

広告代理店がネット広告に消極的な理由

www.advertimes.com

広告とかやっている人なら知っているけれども、それ以外の人にはあまり知られていないメディアである「アドタイ」。まぁ専門サイトなので当然といえば当然なのだが、ここでマス広告とウェブ広告というのはなかなか融合していない、ということが書かれている。

こちらを書かれている人はおそらく動画系クリエイティブの人だと思うが、いくつもウェブとマスをうまく融合している事例を持っているという。私も少ないがそういう事例はないことはない。でもなかなか広まらないのは広告費の多くを握っている、大手広告代理店があまり前向きではないからだ。

成果がはっきりわかるのはメリットでありデメリットでもある

一応補足しておくと、本社はさほど積極的ではないが、ネット広告専業の会社を買収するなどして、ウェブ広告の方もグループとして頑張ろうとはしている。しかし大手広告代理店、電通博報堂などの本社はなぜそこまで積極的になれないのか?

それは成果がはっきりとわかるからだ。1000万円の広告をかければそれに対してどの程度の売上が上がったか、どの程度の認知が広がったかなどが一発でわかる。逆に言えばCMなどはその点があまりわからない。一応視聴率や広告出稿期間とその前後で比較できるが、曖昧な部分も多い。

広告代理店としては何千万円単位の広告費をもらっていて、成果を求められるとかなり大変だ。例えば年間3600万円の広告費を突っ込む会社があるとしよう。CMや雑誌広告などであれば、出稿して「こんなにも多くの人に見てもらえましたよ」とか「有名芸能人でブランド力が上がりましたよ」なんていう曖昧なアピールになる。

逆にデジタル広告であれば「クリック数は◯◯、インプレッション数は◯◯、ROASは1200%で、予測ROASの1000%よりも高い成果を出すことができました」なんてはっきりと広告がどの程度ビジネスに寄与したかを示さなければならない。

今までそういった広告費と企業ビジネスの成否の関係性にタッチしてきていない、大手広告代理店としては、そういったはっきりと成果を打ち出すというのは慣れていないことだ。リスクも大きいしプレッシャーも大きい。だから二の足を踏むのも仕方ないと言えるだろう。

クライアント側もはっきりした成果はあまり望まない?

それとこれは広告代理店だけの問題じゃなくて、クライアント側もあまり望んでいない人がいるのではないかと思う。クライアント側からしても、成果を求められると責任問題に発展しかねないからだ。

例えば広告系の担当部長が今まではCMを売っていたが、それをウェブ動画広告に切り替えるとしよう。その場合、今までCMで上がっていた売上がウェブ動画広告で落ちるかも知れない。取引先から「テレビCMなくなったの?」と言われるかもしれない。炎上で悪いイメージが広がるかも知れない…

そうして失敗してすれば、担当者・責任者は責任を取らなければならない。であればデジタル広告で成功するか失敗するかわからない状況でやるよりも、今まで通りテレビCMを始めとしたマス広告を出したほうがいいと判断する可能性は非常に高い。

広告代理店だけでなく、クライアント側もデジタル広告に理解がなければ、なかなか広まらないのは当然だ。

ウェブ系とマスのバランス良い利用を

かなり前に書いたのだが、ある動画製作会社の事例だ。ベッキーが出演していたCMからアニメーションCMに変えたことで、大きく売上を伸ばしたという事例を取り上げた。

コレはベッキーを使った出演料が1000万円以上したのだが、アニメーションに変えることで制作費が激減し、数本のアニメーションCMが作れたこと、そして余ったお金をCM枠を購入することに使ったことで露出が増えたことが原因だ。

t-matsumoto.hatenablog.com

別にベッキーが悪いということではない。この事例ではっきりしているのは広告で安易に芸能人を使えばいいと考えるのは失敗の素ということだ。もちろん芸能人を使ってブランディングすることで成功した事例もあるだろうから一概には言えない。しかしもしデジタル広告のように成果を求められたのであれば、安易に芸能人をブッキングするだろうか?

何千万円というコストをかけて作るのであれば、そのコストに見合ったリターンが求められる。例えば1500万円の動画制作費に広告費500万円、合計2000万円が掛かったとした場合、ROAS1000%を求められるなら2億円の売上が必要になる。2億円の売上を上げるプランかどうか、よく考えなければならない。

マス広告とウェブ広告ではそもそも考え方からして違う。ウェブ系の広告が広まるには、もっとウェブ広告の理解が広まらなければならない。日本ではもう10年は時間がかかるかもしれない。