ナイスミドルになりたい

松本孝行が思っていること、考えたことなどを書きます。アゴラや自社サイトにかけないだろうなーっていう話題がメインです。

経営者は内部留保を賃上げに使ってはいけない理由

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利益剰余金が400兆円以上になったという発表があったようだ。400兆円もあるのか、すげぇなと思うのだが、日本の借金は1100兆円あるのだから、長年貯めてきた企業の内部留保を吐き出しても、まだ700兆円も残っちゃう。個人で見たら400兆円ってすごいけど、国単位でみたらそんなに大きい金額ではないんだろうね。

さて、じゃあこの内部留保、日本だけ多いのだろうか?実は内閣府が欧米と比較しているので下記を見てほしい。

第3-2-7図 内部留保と現預金保有に関する国際比較 - 内閣府

内部留保の割合を見てみると、アメリカでもヨーロッパでも右肩上がりになっている。さらに言えば、日本よりもアメリカのほうが内部留保の割合が高かったりする。なので、400兆円と言われている日本の内部留保だが、アメリカの場合はもっと多いというわけだ。

ただ、日本の場合は割合として若干ではあるけれども現金預金で内部留保を持つことが特徴のようだ。そこまで顕著に多いわけではないようだが、欧米よりも少し多めに現金預金を持つ傾向にある。現金預金への信頼が高いだろうか??

内部留保、あなたなら使いますか?

さて、内部留保がたくさん溜まっていることで賃上げに回すように政府は要請しているようだが、なかなかそちらの方に進まないようだ。他にもM&AやR&Dなどを行うということもあまり芳しくない。設備投資も伸びていない。

経済は循環させなければ血液と同じで死んでしまうわけで、賃金を上げて設備投資を増やして、お金を回していく必要がある。が、日本の経営者はそれをしない。利益を増やせるかもしれない、売上を上げられるかもしれないのにだ。

なぜか、それはリスクをとるだけの必要性がないからだ。

例えばあなたが社長になったとしよう。その場合、内部留保が1兆円ある大企業だが、その1兆円を使うだろうか?1兆円使って確実に売上が上がるとも限らないし、利益が増えるとも限らない。しかし現在のビジネスを退職するまでの間続けていけば、確実に利益は出る。

となればリスクを取ってわざわざ内部留保を使う必要はないわけだ。しかも賃金に回す必要だってない。賃上げしたらそれだけ利益を削ることになり、結果として「この社長になってから業績が悪化した」と投資家や銀行、取引先に見られかねない。そんなリスクをとれないのだ。

別に利益をどんどん増やしたり、時価総額を増やしたりしなくても、日本は外部から何かを言われることは少ない。投資家やエコノミストメディアからの批判もあまりない。以前紹介した本では、アメリカのYahoo!は業績が上がらないということで投資家などからかなり厳しいことを言われるのだ。

t-matsumoto.hatenablog.com

おそらく海外の経営者も日本のように、特にリスクを取らなくても良い状況であれば、あえてリスクを取って投資を増やしていくことはないだろう。内部留保を同じように増やしていくのではなかろうか。

日本だけ給与が上がっていない理由

また内部留保を給与に使うのは全くもって反対だし、そんなことをしても一時的に給与が上がるだけで、継続して給与を上げることにはつながらない。

実は海外と比べると、日本は給与が上がっていない。下記は共産党系のデータのようなのでバイアスがかかっている可能性は高いが、これを見ると日本は雇用者報酬が下がっている。下がっているのは雇用者報酬だけでなくGDPも下がっている

http://www.jcp.or.jp/web_policy/data/2013214-shiryo02.pdf

つまりどういうことかと言えば、給与を上げたければ経済成長するのがよいということだ。内部留保を1年間ばらまいたところでそれを家庭で貯蓄してしまえば意味がない。しかも内部留保は使ってしまえばなくなるが、経済成長して賃金を上げれば、継続的に給与上がっていく。

というわけで、政府も給与を上げるために内部留保を使えというのではなく、経済成長するための施策を打っていくべきだ。規制緩和して経済成長し、給与が上がっていくのではなかろうか。