ナイスミドルになりたい~松本孝行のブログ~

教育とか雇用とかの社会問題、後は趣味のマンガを中心にしたテーマで書いてます。アゴラや自社サイトにかけないだろうなーっていう話題がメインです。

日本の各政党をマーケティング的に考えてみる

bunshun.jp

やまもといちろうさんの記事が上がった。野党、日本のリベラルが支持されないのはマーケティングの失敗なんじゃないの?という話だ。

これは政治闘争の巧拙というよりはマーケティング上の問題であって、「野党」という商品には好み(プレファレンス)になる人が少ない、ということに他ならないのです。投票先に悩んでまあ自民党でいいかと投票したような人たちが、左派の議論に膝を打ち「なるほど、自民党よりも良い政治を野党はやってくれそうだね」という同調を引き出すのに必要な議論は別のところにあります。

私も一応マーケティングをかじっている端くれなので、ちょっと今の与野党政党政治について、マーケティング的にまとめてみようと思う。

コトラーの競争地位戦略からまとめてみる

まず簡単にコトラーが提唱している競争地位戦略からまとめてみよう。これは「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」と、マーケットシェアから4つに分類するという手法だ。下記、野村総研のサイトを参考にして欲しい。

www.nri.com

先ず一番わかりやすい「リーダー」。これは自民党だ。圧倒的に議席数を持っている。そしてリーダーの後をついていくという戦略を取る「フォロワー」は公明党だろう。この自民党公明党の戦略は大変わかりやすい。

で、野党としてはリーダーの座を狙うために「チャレンジャー」でなければならない。しかしコトラーは競争地位戦略でチャレンジャーをこのように定義している。

業界で2、3番手に位置づく大企業で、リーダーに挑戦しトップを狙う企業です。市場戦略による利益への影響を分析するPIMS研究によると、一般にシェアが高まると収益性が高まることがわかっています。そのため、攻撃対象を明確にし、競合他社の弱点をつくなどしてシェアを高めることを戦略目標とします。

このように定義されている。攻撃対象を明確にするという意味では自民党を攻撃対象に明確化している。が、その後だ。競合他社の弱点をつくなどしてシェアを高める(=議席数を増やす)必要があるのだが、それができていない。

チャレンジャーは主にリーダーと比較した差別化戦略を取らなければならない。簡単に言えば「自民党はこう、でも野党はこうなんです」と言えないといけないわけだ。現在森友・加計問題で攻撃をしている野党だが、それは差別化戦略ではない。「野党だったらこうする」ともっと主張しなければならない。

例えて言うならば、清涼飲料水業界でサントリーコカ・コーラに対して「コーラは体に悪いからダメ!」とか「爽健美茶は美味しくない!」と言っているだけだ。たとえそんな攻撃をサントリーがしていたとして、みんなサントリーの商品を買いたいと思うようになるだろうか?

民主党がブームになって政権を奪取した際はこの差別化が非常に上手にできていた。なぜならあのときには「官僚政治の打破」や「しがらみからの脱却」など、はっきりとした差別化戦略があった。しかし結局、政権を取ってからそれらができないことがわかって、自民党に政権を明け渡すことになったが。

おそらくこの時の経験も大きく影響しているのかもしれない。昔は官僚政治の打破やしがらみを政権交代で断ち切れるとピュアに思っていたのかもしれない。それは国民も同じだった。しかし実際にやってみたら、そんなことはできなかったわけだ。この経験があるから、今までのようなスローガンを掲げる事ができないのだろう。

自民党のニッチャーになりつつある野党

野党の姿勢を見ていると、どうも最近は本気で政権交代を目指しているようには思えない。本当に政権交代をするのであれば、自民党議席数をどのように削って自党に持ってくるのか、その差別化戦略が欠かせない。しかしそのような差別化戦略があるようには見えない。

おそらく今この政党状況を見れば、野党はチャレンジャーですらないように思う。フォロワーでもなく、単にニッチャーになっているのではないか?そう思えてしまう。ニッチな層、一部の層に受けることを主張し、一部の層からの支持を取り付けて議席を少数ながら守ろうとしているのではなかろうか。

それがわかりやすいのが社民党だ。社民党は明らかに政権を取りに行く気はない。政党要件を満たすだけの議席をとればそれでいい、一部の人に支持されたらいいというような振る舞いをしている。マーケティング的には大変正しいニッチャーのあり方だと思う。だからこそ、今もしぶとく数議席を確保できているのだろう。

民進党や希望の党など議席数はそれなりにある政党も、振る舞いを見る限りでは社民党とまったく変わらない戦略をとっているように見える。チャレンジャーとしてのふるまいよりもニッチャーとして一部の支持を取り付けようとしているようにしか見えないのだ。

チャレンジャーとしての差別化戦略

チャレンジャーとして、政権交代を再度目指そうというのであれば、立憲民主党を筆頭とした野党はどのようなマーケティング戦略を取るべきなのだろうか。

それを考えるためのスキームとして「4P」から考えると良いかもしれない。

4Pは有名なマーケティングミックスと言われる具体的な施策を考えるツールだ。product(商品)、price(価格)、place(流通)、promotion(宣伝)の4点を分析し、戦略を考えるのだ。政治をそのまま置き換えることは難しいが

  • 商品⇒政策
  • 価格⇒政策を実行する際の国民が負担するコスト
  • 流通⇒政策の実行力
  • 宣伝⇒テレビ・ネットなどでの宣伝方法

に置き換えてみるといいだろう。これらの項目で野党がどのような状況なのか、自民党と差別化できているか?を考えるのが良いだろう。

宣伝という意味では野党は自民党とほとんど変わりはない。政策の実行力では明らかに負けているし、民主党時代の記憶が国民に多く残っている。残るは政策と国民負担の2つだが、この2つで野党が自民党を上回る状況であれば、政権交代も可能になろう。

ただ残念ながら政策は「反自民・反安倍」しかない。国民負担についてもはっきりと負担を軽くする方法を政策にできていないのではなかろうか。つまり国民に上手に野党が政策を公表デキていないし、制作におけるコストも曖昧でよくわからない状態なのだ。こんな状態では野党が勝てなくても当然だろう。

本当にチャレンジャーとして自民党を追い落とし、政権交代を実現したいと思うなら、チャレンジャーらしくあるべきではなかろうか。