ナイスミドルになりたい~松本孝行のブログ~

教育とか雇用とかの社会問題、後は趣味のマンガを中心にしたテーマで書いてます。アゴラや自社サイトにかけないだろうなーっていう話題がメインです。

システムエンジニアを多重請負で調達するのは合理的な理由があるから

法的にも多重派遣は禁止されているけれども、まだまだ業界として下請けの下請けを使うというのが当たり前のようになっているのがシステム系の業界だ。システムエンジニアプログラマと言った人たちは元請けで入っている人は少ない。

例えば大手企業のSIerと言われる職種はたくさんの企業から、いろいろな人が入ってきている。中堅企業でも、システムエンジニアが元請け・二次請け・三次請けと派遣や請負企業が入っている。簡単に図解するとこのような感じだ。

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(*すいません、元請け・二次請け・三次請けの順番が逆でした。)

まぁこれだけ中に多くの企業が入っていると、当然中抜き・ピンハネと呼ばれる行為が行われている。1社5万円かもしれないし、元請けの方は10万円20万円抜いているかもしれない。ちなみに知り合いの会社は1人100万円で派遣する場合、35万円を会社がもらっていると言っていた。

なぜ下請けが多重構造になるのか?

働く側からしたら「なぜ多重下請けになるんだ!ピンハネしすぎだろ!」と思うのは当然だ。しかし今のシステム業界では多重構造が適しているし、なによりこの多重下請け構造に代わる方法が出てこない限りは構造は変わらないだろう。

下記にその図を書いたので見ていただければわかるだろう。

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いわゆる「ネズミ講」や「ネットワークビジネス」と同じような図になっているが、多くの下請けがいることで、派遣先の企業というのは2つのメリットがある。

1つ目のネットワークというのは多く下請けを持っていたほうが、元請けの企業も多くの人材を企業に派遣することができる。仮に元請けは二次請け10社と契約があり、その企業がそれぞれ10社の三次請けとのネットワークがあるとしよう。それぞれの企業が20人の人材を抱えているとすると、元請けは2000人以上のエンジニアを調達する力がある

これは下請けネットワークがあるからこそできることだ。例えばみずほ銀行のシステム改修など、何千・何万人のシステム人材が必要なプロジェクトの場合は特に人材をいかに手当するかが課題となる。そうなると、やはり下請けでのネットワークで見つけるほうが楽であり、早いのだ。

もし下請け構造がなければ、銀行システムの改修などの大きなプロジェクトの場合、直接元請けが数千人を探してこなければならない。それだけの労力をかけることは今の時点では難しいだろう。そしてこれはリスクヘッジにもつながる。

一つの企業が1000人・2000人と言った膨大なエンジニアを抱えているとした場合、1社が何かしらの問題があり、契約が切れた場合には一気に人材不足の陥る。それが10人20人単位であれば、他の企業でカバーできるようになるだろう。

また元請け企業としても1000人・2000人のシステム人材を抱えるのはリスクは大きいし、契約も煩雑になり、管理も大変になる。だから元請け企業も下請け構造を維持し、下請け企業を多く持つ方が楽なのだ。

下請けに代わる人材調達方法の提案を

というわけで、企業というかビジネスを進める上で下請構造というのは非常に利便性が高い。「ピンハネやめろ!」というのはわかるが、ピンハネするのはそれだけの理由・メリットがあるのだから正当性がある。

もし労働者側がピンハネをやめてほしいというのであれば、直接企業と雇用契約を結ぶことが、下請けでの企業調達よりも楽である・得であるという状況を作らなければならない。でなければ、企業側がこの下請構造を手放すとは思えない。

労働者側が新たな人材調達・リスクヘッジの方法を提示しない限り、企業側は動かないだろう。数十年後、私が死んでも下請構造は続くことになる。